気長にのんびりマイペースに。
半完混合/透過/書き手は複数/交流可
日常・雑話・惚気・裏表現・くだらない話が主。
背後から728クンが覗いてます。
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何言ってんだよ。
追い出されたのは初めてだわ。
…なのに好きなんて、…本当何言ってんの。
よく解らない、何もかも。
辛いって言ったのに。嫌なんだろ?
…辛い理由も嫌な理由も解ってる。
距離を取ったって意味を成さないのも解ってる。
御前が俺から離れられないのも、
俺が御前の傍にいるのも、
理由は全部明確に解ってる。
なのに何でなんだろう。
お互いの気持ちを大事にしたいのに空回り。
我儘な自分をどうにかしたい。
吐き出したら結局嫌味になるんだから黙っていれば良かった。
感情なんて押し殺してヘラヘラ笑っていいよって取り繕っていればこんな事にはならなかったんだ。
…誰かとどうこうなるってこんなに難しいんだ。
もう少し経験積んだ方が良かったのかな。
そしたら上手く立ち回れた筈だから。
でももう他所でなんて出来ないし。
どうしたらいいかも解らない。
溜息しか出ないのは自分自身に呆れてるから。
もう涙も声も枯れて寒空の下に独りぼっち。
迎えなんてないから帰る場所も解らない。
鍵も失って全部無くなった。
手元にはもう何も残っていない。
温もりが欲しい、それすらも我儘なんだろうな。
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…騒々しい歓声も、応援ももう要らない。
頭からタオル被って二人でベンチに座って少しだけ肩に寄り掛って、休みたい。
賑やかな声も景色も全部タオルで遮って、疲れたなって、笑って頷いて二人だけの世界に行きたい。
小さな狭い空間に二人の呼吸だけが重なって、荒々しい息遣いと篭った声が耳に響いてくる、きっと心地が良い。
タオルから覗いたら日差しが眩しくて目を閉じてしまいそうになるけど横顔はきっと俺だけの、…特別であって欲しい。
他には要らない、もう手に入れたから。
後は少しだけで良いから、……肩を抱いて欲しい。
優しい言葉を掛けて欲しい。
疲れたなって、寄り掛った時は話を聞いて欲しい。
アドバイスが欲しいんじゃない。
唯、傍にいて温もりを与えて欲しいだけなんだ。
もう疲れた、休みたい。
少し寄り掛って眠りたい。
……もう、十分だ。
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少し重たいくらいのお前の愛は今の俺には心地が良い、愛されてるって実感するから。
いつもすれ違う度に泣いて離れようとするけど、なんか不思議な感覚でお前の傍に帰りたくなる。でもお前からしたらたまったもんじゃないし、辛くて苦しい事ばかりだよな。悪い事してる。
もう頑張らなくていいから、お前の思う通りに笑って過ごしていけたら良いと思う。きっと窮屈に感じたり悩んだりしてたのかなって思ったらガキっぽい俺じゃ支えにはならないと思うって考えたんだ。
触れ合う事にも躊躇いがあって、少し落ち着いて話が出来るようになって改めてお前とどうこうしようかな、とか色々、建前は。
でも実際は今すぐにでも触れたくて、考える時間はたったの1日くらいで終わった。迷ってないで、お前の話聞いて抱き締めたいって思ったから直ぐに腕を伸ばしたんだ。拒まれるリスクなんて考えてなくて夢中だった。
まだ日が浅い俺らだし、多分まだまだすれ違って飛び出したりする日があるかも知れないけど、お前が良いって多分気持ち昂って泣くのかも、随分と我儘だな。
腕の中で眠りに就くお前を少し眺めてから目を閉じる、傍にいるのがお前で良かったって実感するんだ。今日は幸せな気持ちよりも安心感が強かった、元に戻れたから。
もっと深い愛情を俺に下さい、溺れるくらいの。
濃い蜂蜜の様な甘くて咽せてしまう程の愛情を。
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夢見が悪くて、飛び起きた。
触れ合った後で気分は良い筈なのに、…最悪。
額に汗が滲んでて、髪を掻き上げて深く息を吐いた。携帯電話の液晶画面を光らせて時間を見たら、たったの5分しか経ってない。
隣で寝息を立てる彼奴の肩を揺らして叩き起こして。名前呼んで、迷惑なヤツ。
さっきまで腕の中にいた彼奴に宥められて、伸ばしてくれる腕にしがみついて、今度は俺が腕の中。眠いのは向こうの方なのに嫌な顔せずに優しい言葉をくれる彼奴に心底甘えていつの間にか寝入ってた。夜中に一度も目が覚めなかったのを思うと爆睡してたんだと思う。
…本当迷惑なヤツ。
朝は彼奴の方が早く起きるから、静かに出て行く姿を寝ぼけ眼で見送って。何度か会話した記憶があるけど、彼奴の背中を見送った後のはっきりした記憶がない、…彼奴を送り出したら何度目かの睡眠。少し携帯を確認して、布団の隙間を埋める様に首許まで被って、また目を閉じる。
眠るのも限界で起きたら、少し気怠いのと、自分の素肌に思考を巡らせる。気怠いのは寝過ぎたのか、夢見が悪かった所為。服を着ていないのは、彼奴を抱いてそのまま寝たからだ。布団にみっちり埋まって目が覚めて、そりゃ寒いよなぁと、笑える。…服着ないで寝るクセを直したい。
夏も暑くてやる、一人だと気が緩んでしまって…気をつけないと今年は彼奴がいる。この間話したら引いてた気がする、…下着くらい履いてるわ。イメージ悪くなる事は控えないと。
#昨日のお前可愛かったな。
………どっちが抱かれたんだか。
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余計な事を口走った俺が悪くて。大概のすれ違いは俺が余計な事をして、彼奴を傷付ける。傷つけたのに、待ってくれ、なんて手を引いて引き留める勇気は俺にはない。
だってそうだろう、俺が悪いのに引き留めるなんて図々しい事をどうしたら出来るんだ。待ってくれ、行かないで、なんて俺の口からは言えなくて。
出て行こうとする相手の手を掴んで引き寄せて、腕の中に収めたら全てが上手く行くなんて空想の世界だけで成り立つモンだと思っていて、現実的じゃない。
彼奴がそれを望んでいたとしても、拒まれた時の対処法を知らない俺は臆病で伸ばす手を諦めて手元で拳を強く握る。
彼奴に意思を確認して、そうか、と同意するしか出来ない俺は自分を守りたいだけの臆病者なのか、自分からは口に出来ずに別れを告げようとする彼奴を悪者にしたいだけの卑怯者なのか、…どっちなんだ。
お前しかいない、と素直に口にして抱き締める事を一番に望む相手にどうしてそれが出来ないんだろうといつも考える。臆病になる自分を治したい。
何気ない時にいつも甘い言葉を口にする様にしているのに肝心な時に開いた口からは心ない言葉と悪態。…余計に泣かせてしまうのも、分かっているのに肝心な時に俺はいつもそうだ、大人になれない。
沢山の人がいて、ずっと傍にいる恋人達はすれ違う事はないのだろうか。甘い言葉を口にしたり、しなかったり心の面での深い繋がりがある人達が羨ましい。情けのない事だが、俺は大人になれていない。
泣かせてばかりで傷付けて、彼奴の心が疲れてしまう。そんな負担にはなりたくはない。優しい温もりと甘い言葉で彼奴を満たしてやりたいのに、中々上手くいかない事に頭を抱える。
愛してる、お前しかいない。
そんな単純な言葉を肝心な時に口に出来ないのは、何が足りないんだ。いつも思う、足りないモノを自分のモノにして、彼奴を満たしてやりたい。
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彼奴をこうやって呼ぶ時は柄にもなく、…擦り寄って触れて欲しくて…蜂蜜みたいな甘さが欲しい時。彼奴の整った顔立ちが一層際立って見える瞬間。
同じ背丈の彼奴に包まれる感覚に漸くと慣れた。同じ様に抱き返して、いつもと違うのは広く感じる背中の衣服を握り締めて皺を作る事。
首筋に鼻先を埋めて目一杯吸ったら彼奴の香りが鼻を擽る、いつの間にか好きになっていた彼奴の香り、安心して落ち着く、俺だけしか知らない唯一の香り。
彼奴は俺がこうやって呼ぶ時の理由を知らなくて。話すつもりはなかったんだが、…何となく口にしたら嬉しそうに笑ってる。肩に頬を乗せて彼奴を見上げたら、俺の好きな顔立ち。こんな近くで見つめて良いのか、贅沢な気分になる。
そんな贅沢を独り占め。
彼奴のこんな表情は俺しか知らないんだ。
心底満たされて、瞼が重くなる。
……好きだ、財前。
なァ、…好きだよ。
…誰にも、渡したくない。
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こう言う日は何するのが正解なのか解らなくて誕生日と同じで困ってしまう、イベント事は興味もないし元々そう言う事に無頓着だから。けど今年は普段と違って、そう言う日を過ごしそうな相手がいる。
食べたい物をテーブルに並べて二人で欲しい物を準備して、俺からひとつ別でプレゼント。喜んでくれて良かった、人に選んだりしないから気に入って貰えるか不安だったけど一安心。寒い中買い出しに行ってくれた相手の身体がすっかり冷え切っていて、防寒具貸してあげたら良かったなって少し反省してる。それからは二人でイルミネーション眺めてゆっくり過ごした。……見た、見た、な、…ウン。
大喧嘩した後で、…よくするんだけど、…よくはしてはいけないと思うけど、よくする俺等で。本当は当日会うのも無理ってくらいには言い合って、…俺が一人で怒ってたんだけど。でもお互いに気持ち確かめて今日を二人で過ごす事が出来て良かった。…今日は凄く特別に感じる日で、昨日から口許緩んで本当どうしようってくらいには。
偶に相手の腕の中に収まる時があって、今日はその日。温もり確かめて少し気怠い儘大人しくしていたら俺を見つめる相手から真面目な言葉を貰った。毎日の様に甘い言葉をくれるからその時は撫でて愛でての繰り返し、二人で触れ合ってる時に貰う言葉はまた違う、何でも良い、相手から貰える言葉は素直に受け止められるから。
喧嘩した後だから、クリスマスだから、…触れ合った後だから、…何の理由があってか要因かは解ってないけど…相手を前以上に大切にしたいと思う様になった。それは相手も同じみたいで、二人で凄く深い話をした気がする。まだ少し話は物足りなくてもっと聞かせて欲しいからまたいつか聞いてみたいと思ってる。
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また来年も一緒に、って笑って過ごせる事を祈ってる。来年は少し大人になって、喧嘩もしなくなってるかな、とか。今年した事を振り返って笑っていられたらきっと幸せだと思う。
今日繋いだ手を離さない様に、大人になってもずっと一緒にいようってガキ同士の約束なんて軽いモノかも知れないけど、お互いに確かめ合えたモノがあるから、きっと傍にいて、一緒に笑ってこれから先も過ごせる。
すれ違う気持ちは今日の内に同じ方向に向くように話し合って、如何しようもなくなったら落ち着くまでお互い何か別の事をして気分落ち着かせてみよう。とは言いながらも、多分お互いに気が気じゃなくて他の事なんてやってらんねぇんだろうな、とは思う。じゃあ喧嘩すんなよ、って話だけど、もしすれ違う事があったら…如何しようか、その時考えるか、どうしたら上手く行くのかいつも考えてるんだぜ、これでも。
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バレンタイン…だと。誰かから受け取った記憶は、…無い…。素直にありがとうと伝えるのが良いんだと、それくらいは勉強している。
これは返すモノなのか…?返すんだよな、多分。…返しマス、来月。調べるのが得意な彼奴と違って、探すのに苦労しそうだ。流石に携帯触ってる彼奴の隣で一緒に調べる訳にもいかないだろうから。何が良いんだ、好きな物を言ってくれ。頭を抱えながら彼奴の事を考える時間を作る。
当日は二人でとある場所に。行った事あるのか付き合う前に何回か聞いた様な…返事を貰った事はない気がする。人目につくのが得意じゃないけど、この日くらいは、と指先を握ってポケットに引き入れて互いの指を絡めて温もりを共有し合う。
彼奴から貰った小さな箱に自然と頬が緩んだ。小さな箱に込められた溢れてしまいそうな大きな想いを初めて受け取った。きっと何日も前から俺の為にと探してくれたんだろうな、と一つ口に含んで想いを受け止めた。初めて貰った彼奴からの味はずっと忘れないんだと思ってる。
バレンタイン限定の商品なんだろうな、普段食べた事ない中身で金平糖だった様な、…甘くて初めて食べた感覚。来年一緒に過ごす時に去年あげたモノを問い掛けない恋人でいて欲しい、…忘れてたら今日の日記を振り返る事にする。さっきまで忘れないとか言ってるけど、多分俺は忘れてる、…ヤバい。
……そう言う場所に来たからそう言う事をして、チョコも彼奴も美味しく頂きマシタ。風呂入って、はしゃいでる彼奴が可愛くて、我慢とか理性って何なんだろってくらいには夢中になりマシタ。偶に雰囲気変えて抱くと違う場所のせいか、止まらず触れたくなるのはどうしたらいいのか解らない。
お互いに相手を求め合えるのは凄く幸せな事で、俺だけが彼奴を求めても虚しいだけ。彼奴が俺を求めてくれるなら、それに応えてやりたい、それだけ。
1ヶ月前からお互いに予定合わせた約束だったんだけど、偶にはこう言うのも良いかなって思った。
少し、…彼奴に悪い事をしてしまったからそれだけ反省してます。…今年の目標達成出来るか、俺。
幸せな数日間、ありがとう。
ホワイトデーは、頑張ってみます。
また来年、一緒に過ごそうな。
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俺日中暇な学生だと思われるよな、これ。
波が激しいのがウチの学校で、春先になるとレギュラーの試験があって、夏くらいから秋に掛けて勉強しないとまた後悔する事になる。
試合がない日はゆっくりするのが俺のモットーでもあるし、気にはしないけど、若干気にはなる。モットーなんて久々に口にした、調べたら座右の銘とかそんな事らしい。
座右の銘?それは言わずもがな、何だが…俺は大器晩成って言葉も好きなんだ。カッコよくねぇか?俺はそうなりたいのがある。
いつか、きっと…と祈ってはいる、あまり言わねぇが。
日記を読み返していて、御前に胸倉掴まれそうな気がする事がある。…俺は御前に何を渡したんだろうな。貰った物は覚えちゃいるが、何を渡したか忘れて来た。俺はそんなにこう言う事に関心がないから、…悪ィ。多分これから先長く付き合って行くと最初に渡した物なんて記憶からなくなるのかな、普通忘れねぇよな、…俺が悪いか。御前に貰った物はちゃんと覚えてるから許して。
それこそ胸倉掴まれるどころか、…喧嘩になりそうだ。
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離さぬ様に握った指先を絡め合わせて、彼奴の望む言葉を口にする。溢れ出す涙を拭って、もう泣かないで、と宥めながら抱き締めて。
重ねた唇も、甘い吐息も、愛しい温もりも、全部俺のモノ。触れた肌は心地が良くて俺の傍にいるんだ、と改めて実感する。腕の中で俺にしか見せない表情を浮かべる彼奴に独占欲が勝って来て、理性なんて無くしてしまう。
もっと、なんて口にする彼奴に糸が切れて、俺しか見えないくらいに夢中になって触れている。額から汗が滲んでも、拭い取る余裕なんて俺にはない。
二人だけの空間を、響き渡る息遣いと甘い言葉で満たして満足する。それが一番心地が良い。
何回抱いたんだ、彼奴が寝た後に指折り数えてみるが覚えちゃいない。覚えているのは、俺に向けられた甘い言葉と俺だけを見つめる甘くて愛しい目線だけ。
愛してる、離れて行こうとしないで。
もう離したくないとシーツに縫い付けた掌と絡ませた指先から伝わる温もりで懸命に口にする。
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どちらからともなく、抱き締めたり、抱き締めて貰ってたり、毎日そんな過ごし方。
背後から腕を伸ばしてくれる彼奴に甘えて大人しく腕の中に、招かれる儘に脚の間へ収まって。包まれる温もりは特別で、気分が落ち込んでいた時間を忘れさせてくれる優しい温もりと、穏やかな香り。
言葉を口にしなくても互いに手を擦り合わせて自然に指を絡め合い温もりを確かめながら握り返す、彼奴のもう片方の手が其処に重なって存在感が増していく。宙に浮いてしまう片手を彼奴の頬に添えて緩く撫でてやったら穏やかに笑ってくれる彼奴が愛しい。
彼奴の傍に居るようになって、少しだけ甘え方を学んだ、背中に伝わる温もりも、きっと俺だけを抱き締めてくれるであろう腕からも逃げたくなる衝動は少し前になくなった。この事を彼奴に伝えたらどう思うんだろうか。
身体を傾けて僅かに覗く彼奴を確かめたら優しい顔で俺の手に擦り寄ってくる、きっと俺だけが知ってる、彼奴の甘くて優しい表情。
漸く開いた唇から溢れ出すのは甘い言葉。彼奴はいつも俺に同じ言葉を繰り返してくる、癖のある口調で、俺には真似出来ない言葉遣いで、優しくて、俺にだけ紡いでくれる甘くて溶けそうな程の気持ちを贅沢な時間を与えられている。
二人だけの空間に響くのは俺らの甘い言葉と笑い声だけ、時々彼奴の甘い声が耳許に響いて擽ったい、心地良くてずっと聞いていたくなる。もっと聞かせて欲しいと彼奴に気付かれない様に顔を寄せて耳を傾けて擦り寄ったら、甘く触れる唇にもっと、と欲が出て絡めた指先に力が篭る。
真っ直ぐに俺を見つめてくれる芯のある目に惹かれて、緊張と羞恥心から唇が震えて上手く言葉にならない、薄く開いた唇から漏れるのはありきたりな甘い言葉だけ。それでも彼奴は笑って俺の言葉を受け入れてくれる。
他には要らないと、互いに求め合える幸せを強く握った温もりで実感してる。
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この間、時間が出来たからフラフラと一人で遊んでた。何となく、一人になりたかったから。偶には俺だってゲーセンくらい行く、と財布片手に賑やかな場所に行ってきた、…ちょっと悪い事してる気分だった。
彼奴が学校の先輩と出掛けたらしいけど、取れなかったって悔しがって話してたモノをちょうど見つけてとりあえず試しにやってみた。背中のテニスバックが邪魔だったけど、仕方ない。
何回か挑戦してたら、ふと相性が良さそうな事に気付いた。ああいう時は無心の方が取れるかどうか見極められるもんなんだな。手許の小銭を適当に何枚か入れて遊んでた。
「……あ」
上手く掴めたらしく数回挑戦して取れた。腕に抱えて帰るのは少し恥ずかしかったから、お店で袋を貰って帰宅。ちょっとハマるかも、とその時考えて朝練が早く終わる日を狙ってみる事にした。
部屋に飾って彼奴の満面の笑みを見たら俺まで満足してしまって、後日また一人で行って来た。
野郎の部屋にこんなにぬいぐるみ置いてどうすんだってくらいには取れてしまって。でも知り合いに会わなくて良かった、店に居る時は何も考えてなかったけど冷静になってみたら山ほどぬいぐるみ抱えて帰るのはやっぱり恥ずかしい。
母さんにやったら喜んで抱えて寝室に持って行ったが、ちょっと呆れてたと言うか…何と言うか、そんなに抱えてどうするの?と笑って言われた。道場に女の子が来たらあげて、とは伝えといたが。
何も考えず、欲も出さずにやると取れるもんだな。
こうやってハマって山ほど増えて行くんだなぁと部屋の隅に置いたそれを眺めてる。
ちょうど腕に収まるくらいの大きさのヤツが取れてクッション代わりになるから、気に入って抱えて撫でてたら彼奴がそれを見てて取り上げられた…欲しかったのかもな。…多分。
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日記の整理をしてみた。なんで今かって?
急にやりたくなる時がある、何でも。
気分紛らわせたい時とか、色々と。
日付であったり季節的なものであったり、その時の気持ちを記していたから、全部を纏めて追い遣ると想い出がズレてしまって、あんまり良いものではないな、と考え込んで、ちょっと寂しく感じたので元に戻したり。
重たい日記帳を胸に抱いて机の上で広げて見る。
1枚目から順番に、…確かに一から始まる一冊だったが、…記憶から消してしまおうと最初の頃の頁は破ってしまって、破いた断片を指でなぞって深く息を吐く、…元には戻らない、そう言い聞かせて一人で納得するしかない。確かにあった頁の断片に今は少し後悔をしてる。
唯破いた頁に何が記してあったのか、記憶にない。記憶がないと言う事は所詮それまでの文字の羅列。でも、なんで破いてしまったのか、そこだけは記憶に残っている。深く記憶に残っていて、破った理由も後悔をしている。
まだ数ヶ月の日記だけど色々書いたから思い出してしまうし、整理した頁に薄ら残っている筆圧痕を指で撫でてみたら少し寂しかったり、懐かしかったり、色んな事や余分な事は消しゴムで消して、必要とされる文字だけ残して。…後悔はない…のか、うーん、ない事はないな、この日記に記した事や書き手は全部が俺だから。
後悔ばかりしている俺。他に自慢出来る話を書き足せないか新しい頁を捲りながら考える。自分を前面に押し出す話を書くには時間がかかる、反省や後悔の文章ならスラスラ書けるのはいい事なのかは別として。
また新たな文字を記して行こうと思う。大事な一冊をもう破かなくて済む様に一枚一枚気持ちを込めて、綴りたい。
別れたのかと思われそうな文面になった。…まだ隣に居てくれてます、辛うじて。
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何が欲しいか問われても、上手く言葉に出来ない。
好きな物を与えて貰える環境にあっても、アレが良いと言えない。ガキの頃からそうだ、人に上手く言葉を伝えられない。言ったら相手がどう思うのか考えてしまって、怖くて口に出来ない。
兄貴は俺と違って対照的に何でも口にする、好きな事も嫌な事も、我儘も全部。欲しい物は手に入れて俺は言えない、周りを気にして嫌がられたくない。それなら俺は欲しい物があれば、自分で手に入れて周りに迷惑をかけない様に静かにしてる。周りに気付かれない様にそっと、大事に仕舞い込む。
今になってもそうだ、環境が変わって素直に伝えられる状況であっても本音は言えずに開いた口を閉じてしまう。言いたい事を言えと言われて口にする環境であっても、気を許せなかったら静観する。
立場が変わったら受け入れる事は簡単で甘えられる事も嫌な事も全部頷いて気が引ける事もないから俺には合っていると感じてここまで来た。
唯彼奴と出会って受け入れる事は簡単でも、受け入れて貰える事はやはり難しいんだと痛い程に感じている。言葉を上手く紡げないから、何かあっても、素直に伝えられずに拗れて彼奴を突き放す。気付いて欲しいと思っても、口に出来ないから乱暴な言葉を吐き捨てて泣かしてしまう。もうそうなると俺が悪いと考えるから、とまた口を閉ざしてしまう。
気付いて欲しいなんて、言ってもないのに解る訳もなくて、我儘過ぎる性格を治したい。治したいけど、もうどうしたらいいか解らないし、自分ではどうしようもない。どうしようもない性格を治す方法があるなら知りたい、誰でも良いから教えて欲しい。
結局自分で治すしか見つからないだろうから、治しようなんてなくて、絶対また壁にぶつかって彼奴に当たるしかなくなってしまう。もうどうしたらいいか解らない事が苦しい。
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彼奴は俺の好きな物をよく覚えてる。
日記に書いた話でもそうだし、部屋で話してる時やお互いに自分の時間を過ごしてる何気ない時間で使ってる持ち物とか、食べてる物とか知らず知らずのうちに見てるみたいで、覚えてる。
この間もそうだ、俺が余りにも野良猫の事を日記に書き過ぎたからか、彼奴は何を思ったのか土産にと猫の刺繍が施されたキーホルダーを買って来てくれた。よく覚えてんな、と感心する。
彼奴から貰う物は直ぐに食べたり、暫くしたら使おうと置いていたりする。あまり派手なのは俺には不釣り合いで、どうかと思ってて悩ましい。少し大きくて目立つ、彼奴の好きなマーキングなんだろうと思う、目立つ物を傍に置かせて誰から貰ったのかを理解させる術。後は落とした時が嫌で、こう言う類のものは鞄に付けるのが少し困ったりする。
彼奴からしたらどうなんだろうか。せっかく買って来たんだから付けろ、と言うのか、お前の好きにしろ、と言うのか。本人に確かめるのも一つなんだが、彼奴は俺がどうするのかを待っているんだと思う。
しまうならそれで、着けるならそうしろ、無くしたならまた新しい思い出を、だと思う。無くしたら落ち込むだろう俺の髪を撫でながら、また買って来るからと口にする彼奴が浮かんで仕方ない。
俺はもし無くしたら彼奴に言い出せるだろうか、…逆に彼奴が落ち込んだらどうしようかと考えて口に出来そうにもないと想像してみたが、恐らく俺が落ち込んでると思って宥めるんだろうな、と落とした時のイメージは浮かんでる。
結局テニス鞄に着けることにした。それが一番目立って、彼奴が満足する方法なんだと思う。
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俺の話は彼奴には面白いんだろうか、くだらない事ばかりで役に立つ事はないんじゃないか、と偶に思う。それでも彼奴は頷いて俺の話を聞いてくれる。
彼奴は偶に忘れっぽくて前も話しただろって事がある。最初の頃は同じ話や説明を何回か繰り返して正直気に障る事もあって、言い合いになってしまったり、彼奴の事を理解するには時間がかかる事もあって色々勉強にはなった。
最近は前に話題にした事であっても、問題の解き方を説明したり色々伝えたり、苦にはならない。
忘れっぽいのも、朝に弱くて気怠そうにしているのも個性だと目線を変えて彼奴を眺めてる。
彼奴も俺って面倒な人間の相手をしてくれている。それに俺が話した好きな事は覚えていてこの間の様に学校帰りに土産を買って来てくれる。テニスバッグに付けたあれは結構目立つ様で大人数で纏めて鞄を置く時はすぐに解って良い。
俺ばかりが話題を作って話し込んで彼奴の話を聞いてはいるんだろうか?悩みや愚痴だったり、興味のある事を聞けているんだろうか、そんな事をふとここ数日間で考えた。何でも話して欲しいと言われて、それに甘えてばかりの俺は俺の話ばかりをしていて彼奴の事を聞いてないんじゃないか、と思った。
言い難い事もあるだろうし、きっかけが無ければ話題にはならない。言い出し難い事は彼奴から話してこないだろうから追う事はしない、面倒なんじゃなくて…いつか彼奴から口を開いてくれた時に頷いて聞けたら良いと思うから。
唯俺ばかりが話し込んでしまったら、彼奴は聞き手に回るばかりで言うタイミングなんてないだろうと少し反省する日々で。
彼奴の話を聞いてない事はないんだが、少し会話のやり取りを変えてみようかと自分なりに思う。どんな風にどうやって、なんてのは具体的に浮かばないんだが…彼奴との付き合いは長くなりそうだから、ゆっくり時間を掛けて毎日時間が許す中で、彼奴の話したい事を引き出していこうと思う。
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彼奴とは色々すれ違うことがある。
もう何度すれ違って部屋を飛び出して、帰る場所を失ったか解らない。部屋の鍵を変えられて閉め出された事もある、…笑えないけど、笑うしかない。
最初の頃はもう次はない、って自分に言い聞かせて彼奴と気持ちを確かめ合って頷いてもう一度部屋の扉を開けて帰宅する。
離れたくないと伸ばされる腕を受け入れて、広い背中を何度も撫でて心音に合わせて緩く叩いて落ち着かせる。
甘い言葉を繰り返して心底満たされているのに、時間が経つとちょっとした事ですれ違って背中合わせ。感情が昂って心ない言葉で言い合う、俺達はいつになったら大人になれるのか、いつまでガキなのか、こうなる度に深く息を吐く。
彼奴との約束事は、喧嘩してもその日のうちに手を取り合う、決めた筈だ。二、三日経てば元通り、それだけはやれているんじゃないかと自分をフォローするけど、すれ違う事をやめればいい。
まだまだガキで厄介な性格をしている俺だが、彼奴は今日も隣にいてくれる。こんな俺といて楽しいのか、偶に聞くと笑って頷く彼奴の仕草に甘えて俺も彼奴と肩を並べる。
二人で布団に入って向かい合い薄暗い照明の中で彼奴の表情を確かめる。整った顔立ちと、寝室に響く優しい声。手を伸ばして頬を撫でたら擦り寄って来て、甘えてくれているのが直に伝わる。
お互いに眠くなるまでぽつりぽつりと会話して、どちらからとも無く触れ合って存在を確かめる。
確かに彼奴は目の前にいて、俺にだけ甘い言葉を紡いでくれる。全ての言葉が心地良くて、自然と緩む頬が元に戻らなくなるくらいには甘い時間を過ごしてる。
こんなに大切に思っているのに、時にすれ違って別の部屋で寝たり背中合わせになっていたり。
このすれ違いを無くすのも、解決出来るのも、修復するのも、俺等にしか出来ないんだ。
つまらなくなっていた日常に明るい笑いを添えてくれるのは彼奴しかいないんだ、繋いだ手を離さない様にすれ違っても懲りもせずに向かい合って眠りたい。朝起きたら気怠そうにおはようって瞼を擦る彼奴を眺めていたいんだ。
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「部長に男の子だと誰と遊ぶんですかって聞いたら、日吉って言ってた」
「…男の子」
「日吉の名前が出て俺も宍戸さんも納得した」
「まぁ、安牌だろうな」
此奴等何の話してたんだって思った。質問の通りで誰と会うか聞いたら俺らしい。かと言ってそんなに頻繁に会ってる訳でもなく、つか部活で会うし。
部室で話してたら来月の定期試験の話題になり、部長がやって来て、試験の事をしたら日程が同じらしい俺と。
「終わったらメシ行くか?彼奴等もいる」
「行きます、大丈夫です。」
「え、もうここで約束するの」
秒で決まる予定。でも偶に決まってもなくなる時もある、なくなる時のが多い気もするが。またテストが始まる、で、毎年勉強しなくて当日に後悔をする。後悔をして来年の試験はちゃんとやりたい、って決めて同じ事を繰り返す。いや、今年はやろう、やろうっつーか、…やるんだ、俺。あー…。
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彼奴と過ごす時間は贅沢で、何にも変えられない貴重なモノだと理解している。お互いに部活を任される立場になってきて、合間の時間を互いの為に共有し合う。相手を想うなら出来るだろ、と言い放ちたくなるが、そうもいかない時もある。
彼奴は彼奴で部活を任されている事もあるし、帰りが遅くなる日も、疲労で眠た気にしてる日もある。
俺も俺で、朝練が続いて試合が長引けば休憩もなくなるし、彼奴が待っている部屋に帰るのは彼奴が寝てからの日が多いし、会話をするのも毎日は難しいのが現状だったり。
そんな中でも今こうやって、目の前に彼奴がいる。俺の話を聞いて笑って頷いてくれている、上手く話せずにいた俺の話をどんな事でも冷やかさずに。くだらない話を永遠に繰り返して頷いて、首を傾げれば直ぐに調べてくれる、解決してまた笑って過ごすんだ、すれ違っていた事なんて忘れて。でもこれは当たり前の時間じゃなくて、二人で作り上げた幸せな事なんだと実感している。
この当たり前の環境を作り上げるのは簡単な事じゃない、俺はこの言葉を大切にしていて、何に対してもそう思っている。当たり前を作り上げるのは努力が必要なんだ、協力と支えがなかったら難しいと思うから。彼奴との事だったり、テニスだったり、友人でも、全てにおいて。大袈裟だと笑われるかもしれないが、俺はそれくらい大切にしている。
だから、俺は少しでも時間を共有してくれる彼奴に感謝をしている。傍で話を聞いてくれるのは当たり前じゃないから。気持ちだけで何とかなるモノじゃないから、感謝しながら彼奴の傍にいる。