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[chococityTOP]真夜中の兵隊 | ミルク
44: 日吉若
2026/01/08(木) 22:19:21


彼奴とは色々すれ違うことがある。

もう何度すれ違って部屋を飛び出して、帰る場所を失ったか解らない。部屋の鍵を変えられて閉め出された事もある、…笑えないけど、笑うしかない。

最初の頃はもう次はない、って自分に言い聞かせて彼奴と気持ちを確かめ合って頷いてもう一度部屋の扉を開けて帰宅する。
離れたくないと伸ばされる腕を受け入れて、広い背中を何度も撫でて心音に合わせて緩く叩いて落ち着かせる。
甘い言葉を繰り返して心底満たされているのに、時間が経つとちょっとした事ですれ違って背中合わせ。感情が昂って心ない言葉で言い合う、俺達はいつになったら大人になれるのか、いつまでガキなのか、こうなる度に深く息を吐く。

彼奴との約束事は、喧嘩してもその日のうちに手を取り合う、決めた筈だ。二、三日経てば元通り、それだけはやれているんじゃないかと自分をフォローするけど、すれ違う事をやめればいい。
まだまだガキで厄介な性格をしている俺だが、彼奴は今日も隣にいてくれる。こんな俺といて楽しいのか、偶に聞くと笑って頷く彼奴の仕草に甘えて俺も彼奴と肩を並べる。

二人で布団に入って向かい合い薄暗い照明の中で彼奴の表情を確かめる。整った顔立ちと、寝室に響く優しい声。手を伸ばして頬を撫でたら擦り寄って来て、甘えてくれているのが直に伝わる。
お互いに眠くなるまでぽつりぽつりと会話して、どちらからとも無く触れ合って存在を確かめる。
確かに彼奴は目の前にいて、俺にだけ甘い言葉を紡いでくれる。全ての言葉が心地良くて、自然と緩む頬が元に戻らなくなるくらいには甘い時間を過ごしてる。

こんなに大切に思っているのに、時にすれ違って別の部屋で寝たり背中合わせになっていたり。
このすれ違いを無くすのも、解決出来るのも、修復するのも、俺等にしか出来ないんだ。
つまらなくなっていた日常に明るい笑いを添えてくれるのは彼奴しかいないんだ、繋いだ手を離さない様にすれ違っても懲りもせずに向かい合って眠りたい。朝起きたら気怠そうにおはようって瞼を擦る彼奴を眺めていたいんだ。

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