[chococityTOP]真夜中の兵隊 | ミルク
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日吉若
2026/01/13(火) 01:12:47
前の日記帳から一枚ずつ新しいノートに貼り付けた。ハサミで切って、糊で貼る、こう言う手作業の方が俺は好きで地味だがやり甲斐はある。新しい事は俺には出来ない、アナログが俺には似合うと自負している。彼奴が寝息を立てている時や、部活の休憩時間に作り直していたんだ。
もうそろそろレギュラーの試験が始まると思うから、今月くらいは自由にしたいと思って唯無心でやっている。試験もあるんだが、今年はまぁ、…まぁ、……部長の試合見に行くとでも行っておこう。
あの人の試合が終わってしまったら俺は一体何を追いかけて行けば良いんだろう、何を支えにテニスを続けていくんだろう、他人からすりゃくだらない事を考えながら新しい日記帳に貼り付け直せば100枚近くあった古い日記も枚数が減って、表紙が傾いてしまう。代わりにと譲って貰った一冊に厚みが増して思い出と共に腕の中。
…御前がいつも言う推しとか言うのを部長の試合に例えてみたが、…どうだ。俺にはそんな物はないが、ウチの部長に例えたら中々面白いなぁと文房具を片付けながら寝息を立てる彼奴をチラ見した。
偶には御前も自分の学校の部長の試合でも見に行ったらどうだ、こう言ったら御前はどんな顔するんだろうな。
…ある意味追っかけてはいるんだが、…な。言葉は難しいと過去に書いた日記を見直しながら消しゴムを擦り付けて文字を書き直す。無駄な頁を消したり、言葉を書き足したり消したり。
毎日一冊ずつ増えて行く棚の日記帳に目移りするけど、個人的に大切な一冊だから簡単には捲れない。そうだよな、と呟きながら栞の差し込まれた一冊を手に取って読んだ。
俺とは違って綺麗に飾り付けられたノートだった、俺にはこんな手の込んだ真似は出来ないと感心しながら少し読んだ後に元の位置に戻しておいた。
俺の分厚い一冊は彼奴の隣に無理矢理押し込んで、周りと比べながら今日から此処が俺等の本棚だと満足して部屋を後にしたんだ。
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